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　日本電産の永守重信会長は２３日、「中国の次に欧州も悪化のトレンドに入っている」と述べ、中国経済の減速が世界市場に与える影響の大きさについて危機感を示した。米中貿易摩擦の落としどころが見えない中、今月下旬から本格化する決算発表で、業績見通しを引き下げる企業が相次ぐ可能性も出ている。
　同日発表された同社の平成３０年４～１２月期連結決算は、売上高が前年同期比４．４％増の１兆１５４３億円、最終利益は９．８％増の１０３２億円で、いずれも過去最高。年度前半の好調が寄与した格好で、来年１月までに５００億円を上限とする自社株買いを実施することも発表した。
　だが今後は、米中貿易摩擦の影響で業績悪化が見込まれており、同社は１７日に３１年３月期の業績予想を下方修正した。売上高の予想を従来より１５００億円減の１兆４５００億円に、最終利益を３５０億円減の１１２０億円に引き下げ、増益予想から一転して減益になる見通しとしている。
　中国経済の減速による業績への影響は広がり始めている。すでに２月期決算の安川電機が今期２度目の下方修正を余儀なくされており、ＳＭＢＣ日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「機械や素材関連の３月期決算企業は、４～１２月期の実績や通期見通しなどで中国経済の急減速が影響してくる可能性がある」と警鐘を鳴らす。
　日本工作機械工業会が２３日に発表した３０年の年間受注額は前年比１０．３％増の１兆８１５８億円と２年連続で過去最高を更新したが、１２月単月では前年同月比１８．３％減の１３５５億２２００万円と３カ月連続で前年割れ。中国向けは１０カ月連続で前年実績を下回った。
　日立建機によると、昨年１２月の中国の油圧ショベル需要（中国メーカー以外、台数ベース）は前年同月を１８％下回った。同社は中国政府が昨年７月に打ち出したインフラ投資の実行や、需要が集中する春節（２月５日）明けの商談に備えたい考えだ。コマツは米中摩擦の影響を最小化すべく、部品生産の一部を中国から日本やメキシコに振り分けたが、年間で４０億～５０億円のコスト増を見込む。
　大手メーカーの苦戦はものづくりを支える中小企業をもむしばんでいる。都内の金属加工会社の社長は「昨年１１月ごろから、仕事をいったん止めてくれという話が入ってきた」と受注環境の厳しさを語った。